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都築由浩
SFやらミステリやらホラーやらをライトノベルジャンルで書いている作家。
コミック原作・編集デザインなどその他さまざまな職業を兼業する。
クルマ・R/Cカー・自転車・ホビーロボットなど多趣味で、それらの道具や仕事の資料が散らばる自室が常にゴミ箱のような様相を呈していることから、巻末に『9畳のゴミ箱より』と記する。
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2008(C) Yoshihiro Tsuduki
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日本の電子書籍市場にみる夢
 さて、前回「電子書籍と自炊と自炊代行業者」の話をしました。
 今回は「自炊」とはまったく別の件として、日本の電子書籍の話を書きます。ただし今回書くのは完全に絵空事で、「日本の電子書籍市場はこんな風になるといいな」という私の夢だと思って下さい。
 この文章は、昨年の11月にamazonが各出版社にkndleStoreで電子書籍を扱うための契約書(本当は「ドラフト」という、契約交渉に入る前の叩き台の契約書案)を送りつけた時期に、facebookに知人のみ公開で書いたものです。

 まず最初に、私の基本的な立場を書いておきます。
 電子書籍の市場が成長したからといって、紙の本はなくならない。紙の本だけで見れば売り上げが落ちるだろうけれど、「紙の本+電子書籍」という書籍全体で見れば市場規模が大きくなる……と思っています。
 だから電子書籍化を進めてほしいわけです。

 現在の日本の電子書籍市場は、まずフォーマットが乱立し、どれが「勝ち組」になるかわからない状況です。「勝ち組」フォーマットが見えないと、(アーリーアダプターを除く)一般ユーザーは電子書籍リーダーを買うことすらできません。だから、市場を作るためにはまず「勝ち組」フォーマットが見えてこないとダメだと考えています。
 なぜこれまでそうしたフォーマットが決まっていないのか、という疑問には、今回はお答えしません。ていうか非常に複雑な大人の事情がからんでいるので、なかなか難しいでしょう。
 そんなわけで、ここからは「夢」の話なのです。

 ある程度「勝ち組」フォーマットに目処がついて電子書籍市場ができてくると、すでに紙で出ている本が山のように電子化されるでしょう。それこそジャンルをしぼっても個人では読み切れないくらいの勢いで。
 その時に必要になるのが、昔(まだインターネットがなかった時代)は大抵の書店に一人はいた、そして今は大きな書店にいかないとなかなかいない書店員さんのスキルであると思っています。
 電子書籍をいっぱい読んで、その中で「私のおすすめ本」を紹介する技術。
 最近の言葉で言うと、「キュレーター」と言われるようですが、この言葉は別の意味にも使われているようなので、ここでは「レビュアー」という言葉を使います。
 昔の書店にはこういう店員さんがいっぱいいて、各棚ごとに担当店員さんのおすすめ本があり、その中からお客が本を選んで買っていったものです。だから書店ごとに面出しで並んでいる本は違っていて、いくつもの書店をはしごする意味があったし、「相性のいい書店」というのも存在しました。今は新刊本が多すぎて、どこに行ってもだいたい並んでいる本は同じ。人件費を下げるために切られてしまいがちな書店員さんの技能なんですけどね。

 要するに、そうした技能を持つたくさんの人が個別にページを持っていて、「自分のおすすめ本」を紹介するサイトがあって、そこからダウンロードされた電子書籍にはアフィリエイトでレビュアーさんに紹介料が支払われる……というシステムが欲しいなあと。
 読者はその中で感性のあうレビュアーさんを探して、次に読む電子書籍を選ぶ時にその人の紹介記事を参考にするわけです。
「個人の電子書店がいっぱい並んでいる商店街」のようなものですね。

 サイトはレビュアーさんから定額の出店料をもらうことになるでしょう。(アフィリエイトのパーセンテージが相当高くない限り中抜きは難しいし、管理も大変)
 電子書籍販売サイト(ベンダーと呼ぶ。出版社にあたる)と交渉して、できるだけ高いアフィリエイト料を獲得するのも、サイト運営側の仕事。
 レビュアーさんをたくさん揃えないといけないし、得意なジャンルも偏らないようにしないといけないから、最初のうちは出店料永久無料とかで会員を集めないといけないだろうし、有名な書評家さんにはやっぱり無料でレビュアーになってもらわないといけないでしょう。
 もちろん、サイト自体の宣伝をして読者を集め、「うちのサイトを通して電子書籍を買って、レビュアーさんに収入を」と呼びかけるのも、サイト運営側の仕事。
 ただ本を紹介するだけじゃなくて、レビュアーさんのブログ機能も持たせて「コラム」的な記事があると、読者集め/読者のレビュアー選びに有効じゃないかなあ。

「電子書籍市場が大きくなると、取次と書店が外される」という論がよくありますが、少なくとも(書店でなく)まっとうな書店員さんには、この方法で収入を得られるようになってもらいたいと、こんなことを考えています。
 誰か実行してくれませんかねぇ。いや、先にまともな電子書籍市場ができないことにはどうにもなりませんが(溜息)
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| お仕事(小説/SF) | 04:03 AM | comments (0) | trackback (x) |

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