先月、SFファンダムの大先輩である柴野巧美さんの訃報があったばかりなのに、またもや偉大な先達が亡くなったと聞きました。
翻訳家の、浅倉久志さん。
多数の訳書を残され、特にコードウェナー・スミス(「人類補完計画」という単語に聞き覚えのある人はこっちが原点だから読むように)やジェイムズ・ティプトリー・Jr.(ペンネームは男性名だが本当は女性だった。日本のSFファンダムでは『ティプトリー・ショック』と語りぐさになっている)、R.A.ラファティ(ユーモアSFが多くて翻訳は本当に難しいらしい)、そして映画『ブレードランナー』の原作である『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』(拙作『シャーロットはガラスの靴の夢を見るか』はこの作品のタイトルからきたもの)のフィリップ・K・ディックなど、異色の作家を多数担当され、特に『たった一つの冴えたやり方』(ティプトリー/ハヤカワ文庫)や『高い城の男』(ディック/ハヤカワ文庫)は名訳とされています。
本当に多数の訳書があり、SF読みでこの人の訳書を読んだことがないなんて人はいないでしょう。『大浅倉』とまで呼ばれた方。
個人的には、最も好きなSF作品『バーサーカー』シリーズ(フレッド・セイバーヘーゲン/ハヤカワ文庫)の訳者として高校生の頃にはもうお名前を存じ上げていて、何冊のすばらしいSFをこの人の翻訳で読んだのか数え切れないほど。拙作『レディ・スクウォッター』に登場する自動戦闘機械リッパーは、このバーサーカーを元に考えたものです。
訃報に接した昨日は『輝くもの天より墜ち』(ティプトリー/ハヤカワ文庫)を買って帰りました。
たくさんの訳書をありがとうございました。ご冥福をお祈りします。
| https://blog.tsuduki.com/index.php?e=206 |
|
| 01:01 PM |
comments (0) | trackback (x) |