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都築由浩
SFやらミステリやらホラーやらをライトノベルジャンルで書いている作家。
コミック原作・編集デザインなどその他さまざまな職業を兼業する。
クルマ・R/Cカー・自転車・ホビーロボットなど多趣味で、それらの道具や仕事の資料が散らばる自室が常にゴミ箱のような様相を呈していることから、巻末に『9畳のゴミ箱より』と記する。
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2008(C) Yoshihiro Tsuduki
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『アバター』と『スターウォーズ』
 『アバター』と『スターウォーズ』(のちに『エピソード4 新たなる希望』とサブタイトルが付けられることになる最初の劇場公開作)。
 この2作、どちらも時代を代表する大ヒット作であり、公開直後から「今後数年の劇場公開作品に多大な影響を及ぼす」とされた作品であり、また同時に「ストーリーは大したことはない」と評された作品でもあります。
 実はこの2作、物語構造が全く同じだということに先日気付きました。
 といってもこれは「ストーリーの作り手」の視点から見た時の話。自分がストーリーを作るときの参考にするために、既存作品のストーリーを一度バラバラにする課程で「こうなる」ということを発見しただけのこと。
 普通に作品を楽しめばいい視聴者/読者/観客のみなさんには不要な視点なのですが。
 ▽続きの下は、作家やクリエイター志望の方には読んでもらいたい内容ですが、ネタバレを含みますからご注意ください。


 その『物語構造』とは、つまり下のようなもの。

「現実に不満を持つ青年が/別世界で/身分のある女性を助け/世界を救済する物語」

 どちらのストーリーも、この枠にきれいに収まります。
『スターウォーズ』では、宇宙の片田舎の砂漠の惑星でこのまま一生を終えるのか、と思っていたルークが、
『アバター』では、戦争で負傷して車いすの生活を余儀なくされていた元海兵隊員のジェイクが、
 宇宙空間あるいは惑星パンドラで、レイア姫あるいは現地人ナヴィの村長の娘ネティリを助け(あるいは助けられ)
 帝国軍あるいは地球の私設軍と戦って、世界を救済する物語。
 ……ね。
 どちらも大ヒットした作品のこと。「これはもしかしたら大ヒット作の法則を見つけたのかも……」と一人ほくそ笑んでいます。「ストーリーは大したことない」と評されたとは書いたけれど、むしろその「大したことない」ストーリーがヒットの原因なのかも、という部分もあるので。

 ストーリーを作るときは、一度こうやって一行でこれから作りたい物語の構造を書き出してみると、今あるアイデアに何が足りないか、あるいはなにが余計かが見えてきます。
「現実に不満を持つ」にあたる、主人公を表す言葉のところに、主人公の最初の動機Aを、「世界を救済する」にあたるストーリーの最終目的に主人公の最終的な動機Bをいれると、AとBの違いで主人公が成長したことが表現できます。
 動機Aを解決するための要素を「別世界で」にあたる2センテンス目に入れてストーリーの転がしはじめを決め、3センテンス目にその後の展開を入れる……というふうにすると、非常にオーソドックスな形になってしまいますけれども、基本的な物語の構造ができます。

 小説を書き始めたはいいけれど途中で行き詰まってしまったり、あるいは、テーマは決まっててどうにか書かなきゃいけないけどぜんぜんストーリーを思いつかない時には、こんな風にすると上手いとっかかりがつかめたりしますので、お試しあれ。

 今日は、作家志望者の専門学校などでやっている講義の内容のごく一部を日記にしてみました。
 講義の時はもっと詳しく、既存の作品を分解して自分の作品作りに生かせる要素を抜き出す方法や、それを使って「自分の」ストーリーを組み立てる方法などを説明しています。京都精華大学での講義は『DTP』なので、こんな話は講義ではしていませんけどね。
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| お仕事(教職) | 09:28 PM | comments (0) | trackback (x) |

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